藤澤の営業日記の3通目です。今回も、営業の現場で考えたことを、つらつらと書いていきます。
インサイドセールスを始めたばかりの頃、僕は毎月ひたすら「何件アポを取れたか」だけを追いかけていました。アポ数とアポ率。そこが伸びれば仕事をした気になっていたんです。
でも、あるとき気づきます。アポはたくさん取れているのに、受注がまるでついてこない。
極端な話、月に100件アポを取っても受注率が0〜1%なら成果はほぼゼロです。逆に、月5件しか取れなくても、その5件が全部受注になるなら、価値は圧倒的に高い。当たり前のことなのに、「数」を追っているときの僕には見えていませんでした。
インサイドセールスが本当に追うべきは、アポの数ではなく、「そのアポがどれだけ受注につながったか」。質の高いアポをどう担保するか——ここにこそ存在意義がある、と今は思っています。
では、受注率の高いアポはどう作るのか。僕が大事にしているのは、2つです。
① 事前の電話で温度感を上げきる
日程調整だけして事務的に切るのではなく、ヒアリングの中で「その課題、うちならこう解決できるかもしれません」と期待感を持ってもらう。お客様が「早く商談で話を聞きたい」「自社でどう使えるか考えておこう」という状態で当日を迎えてくれると、フィールドセールスへのパスが驚くほどスムーズになり、成約率が変わります。
② 与件情報のヒアリング
たとえば予算が月10万円の企業に、商談でいきなり100万円の提案をしても絶対に通らない。でも事前に予算感が分かっていれば、プランも見せ方も調整できる。相手に合わせたピンポイントな提案ができると、「この人は話が早い」「よく分かっているな」と信頼され、即決や好条件につながりやすくなります。
とはいえ、的確なヒアリングは簡単じゃありません。昔の僕がまさにそうで、「何を聞けばいいか分からない」「聞いてもうまく引き出せない」状態でした。同じ悩みを持つ方は多いと思うので、僕が整理した「何を」「どう」聞くか、を共有します。
何を聞くかは、まず基本フレーム「BANT-CH」を頭に入れています。
- B(予算)/A(決裁権)/N(必要性)/T(導入時期)……定番の4つ
- C(競合の検討状況)/H(社内の運用体制・人員)……ここまで押さえる
このピースが揃わないまま提案すると、的外れになったり、最後の最後で「運用する人がいない」とひっくり返されたりします。
さらに強い営業は、一般論だけでなく「自社商材だからこそ聞くべき独自項目」を持っています。営業支援なら「希望アポ単価」「過去に試した施策」「今期の目標商談数」など。これを聞けると提案の解像度が一段上がります。
どう聞くかも大事です。
予算や決裁権は絶対に知りたい。でもストレートに「ご予算は?」「あなたが決裁者ですか?」と聞くと角が立つ。そこで枕言葉(クッション言葉)を添えます。
たとえば「ずれたご提案をしないために、差し支えなければ伺いたいのですが、ご予算感はどれくらいを想定されていますか?」——こう一言足すだけで、相手は驚くほどスムーズに教えてくれます。
質問の形式も使い分けます。「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問は相手の負担が軽く答えやすい。一方「どう思われますか?」というオープンな質問は、過去の失敗談みたいな想定外の有益情報を引き出せる。相手の口の重さに合わせて、意図的に切り替えるバランス感覚が要ります。
結局のところ、営業は「場数を踏めば勝手にうまくなる」と誤解されがちですが、何も考えずにこなすだけだと、どこかで成長が止まります。
ヒアリング項目は何か。聞きにくいことをどう引き出すか。オープンとクローズド、どちらで聞くか。こうした「型」を頭に入れた上で、「今日はこの聞き方を試そう」と考えながら実践と反省を繰り返す。そうして初めて、相手に応じた柔軟さが身につきます。
型を守り、そこから応用へ広げていく——いわゆる「守破離」です。気合と根性でコール数を稼ぐだけのインサイドセールスから抜け出して、事前準備とヒアリングの型を仕込む。それだけで、アポの質も受注率も変わってくるはずです。